「今日の名言」は・・・
・原子力損害賠償法(原賠法)三条一項は、
事業会社に原子力損害の無過失(無限)
責任を課すものの、但し書きにおいて、
「その損害が異常に巨大な天変地異又は
社会的動乱によって生じたものであるときは、
この限りでない」と免責の余地を残している(p239)
「(日本人)かっこにっぽんじん」橘 玲、幻冬舎
【私の評価】★★★☆☆(72点)
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■東日本大震災に伴う東京電力福島第一発電所の
原子炉溶融事故の顛末は、
日本人らしさを示しました。
原賠法においては、巨大な天変地異は、
事業会社に責任を課さない(免責)と
されていますが、今回は該当しない。
東京電力の無限責任となりました。
ところが、国は原子力損害賠償支援機構法を作り、
国債を担保として5兆円(のちに9兆円)を
東京電力に交付し、原子力を持つ電力会社が
25年間で返済する仕組みをつくりました。
これは、電気料金を通じて廃炉の資金を
東京電力に支払うとことであり、
他の電力会社にも負担を求めており、
税金に近いものでしょう。
東京電力の無限責任のはずが、
他の電力会社も含めた
連帯責任となってしまったのです。
一方で、東京電力は実質国有化され、
経産省は人員を東京電力に派遣し、
50歳以上の社員を福島県に移動させ、
火力発電は中部電力と統合させ、
事実上、東京電力を解体しました。
本来であれば、東電は免責ではないのか。
免責でないとすれば法的手続きにより
東京電力の整理・再生が行われるのが
本来の法治国家のあり方だったはずです。
■さらに、原子力発電を推進してきた
政府の責任はどうなったのか。
事故当時の総理大臣は
「経産省と東電の責任」を
主張していますが、
政治の責任はどうなるのか。
原子力発電所を検査し、
許認可を与えてきた省庁の
責任はどうなったのか。
あいまいでありながら、
清々と生きていくところは、
いかにも日本人らしい結末だと
橘さんは感じたようです。
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